サルといってもいろいろ

　生物の進化や解剖学、骨の本などを良く読むわたし。そこには、いろんな猿が登場します。類人猿、真猿類、原猿類、新世界ザル、旧世界ザル、広鼻類、狭鼻類、そしてヒトなどなど。英語でも monkey、ape は違う猿を指します。映画「猿の惑星」の原題は、「PLANT OF THE APES」であり、monkeyの惑星ではありません。尻尾の長い猿を monkey、尻尾の短い猿を apeと呼ぶようです。
　では、分類学上これらの猿はどのように分類されるのか、という疑問がわきました。Wiki などで調べてみましたが、猿の分類にも諸説あるようです。

　霊長類とは、ヒトを含めた猿の総称です。分類学では、サル目、霊長目と言います。昔は、比較的原始的なサルを「原猿類（原猿亜目）」、その他のサルらしいサルを「真猿類（真猿亜目）」と分類していましたが、研究の進展により、現在では原猿類という名称は使われなくなってきています。現在では、原猿類の仲間だった、メガネザル類と真猿類をまとめて、「直鼻猿亜目（直鼻亜目）」、メガネザル類以外の原猿類を「曲鼻猿亜目（曲鼻亜目）」として、大きく２グループに分類されています。詳細な分類は以下の通りです。（コピペです）

サル目（霊長目）

■曲鼻猿亜目（曲鼻亜目）
　●キツネザル下目 (lemur)
　　・コビトキツネザル科
　　・イタチキツネザル科
　　・キツネザル科 - ワオキツネザル
　　・インドリ科 - インドリ
　　・アイアイ科 - アイアイ
　●ロリス下目
　　・ロリス科 - スローロリス(loris)
　　・ガラゴ科 - ショウガラゴ(galago)

■直鼻猿亜目（直鼻亜目）
　●メガネザル科(tarsier)
　●真猿類
　　・広鼻下目(広鼻猿類、新世界ザル、南米サル)(monkey)
　　　└オマキザル科
　　　└マーモセット科
　　・狭鼻下目（狭鼻猿類）
　　　└オナガザル上科(旧世界ザル)(monkey)
　　　　└オナガザル科
　　　　　└オナガザル亜科 - マントヒヒ、ニホンザル、マンドリルなど
　　　　　└コロブス亜科 - テングザル、キンシコウなど
　　　└ヒト上科（ホミノイド）
　　　　└テナガザル科(ape)
　　　　└オランウータン科(ape)
　　　　　└オランウータン属
　　　　└ヒト科
　　　　　└ゴリラ属(ape)
　　　　　└チンパンジー属(ape)
　　　　　└ヒト属(human)

　ヒトは、分類学上では、サル目 - 直鼻猿亜目 - 真猿類 - 狭鼻下目 - ヒト上科 - ヒト科 - ヒト属ということになりますね。この中で、類人猿と呼ばれるのは、ヒト以外のヒト上科の仲間で、英語で ape と言います。対して monkey とは、真猿類の中で、ヒトと類人猿を除いた、広鼻下目、狭鼻下目のオナガザル上科の仲間を示します。尻尾の短いニホンザルが、オナガザル科に属するというのも面白いですね。
　さて、この分類図では、広鼻猿類を「新世界ザル」、オナガザル科を「旧世界ザル」と呼んでいますが、両者の違いは何でしょうか。真猿類は、旧大陸（アフリカ・アジア）で登場した後、広鼻猿類と狭鼻猿類というふたつの大きなグループに分かれて独自に進化してゆきます。広鼻猿類は、その後アフリカ大陸から南米大陸に渡って、現在、新世界ザル（＝南米ザル）と呼ばれています。狭鼻猿類は旧大陸に残り、ニホンザルやコロブスを含む旧世界ザルと類人猿やヒトを含むホミノイドの２つのグループに分かれて進化しました。狭鼻猿類がその後、地上に降り大型化を始めるのに対し、新世界ザルは、樹上にとどまり、個々の種が独自の進化を遂げていきます。
　旧世界ザルと新世界ザルの違いを上げると、先ず、旧世界ザルは、狭鼻猿類と言われるように、２つの鼻孔が近く、下を向いていますが、新世界ザルは、鼻孔が左右に離れています。旧世界ザルが各種の生息地に適応したのに対して、新世界ザルは全て樹木に住んでいます。新世界ザルは、木をつかむのに適した尾を持っていいますが、旧世界ザルはこのような役割の尾は持っていません。

　ホミノイドは小型類人猿（テナガザル）とオラウータン、ゴリラ、チンパンジーなどの大型類人猿、そしてヒトに分けられます。テナガザルはは東南アジアに生息していて、腕渡り行動（ブラキエーション）、大型類人猿はナックルウォーキングといった特徴的な移動様式をしています。ヒトの２足歩行は、特段に異質なものと言えるかもしれません。

　蛇足ですが、ナマケモノは猿に似ていますが、全く別の種です。アリクイ、アルマジロと同じ異節類に属しています。長いひとり言になってしまいましたが、何となく猿の分類が分かってきました。
今日はこのへんで。

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